4.16(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、
新宿武蔵野館
ほか《2作連続公開》

予告編
『戦場のメリークリスマス 4K修復版』予告編
『愛のコリーダ 修復版』予告編
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戦場のメリークリスマス|4K修復版|
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INTRODUCTION

大島渚監督、最大のヒット作。

戦闘シーンのない戦争映画、出演は全て男。
戦争の闇を容赦なく描く伝説の名作がついに4K化。

第36回カンヌ国際映画祭で、そのテーマを巡って大きな話題を巻き起こした本作は、デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、内田裕也などの本業が俳優ではない個性的なキャスティングで原作者の日本軍俘虜収容所での体験を描いた、戦闘シーンが一切登場しない異色の“戦争”映画。俘虜となるジャック・セリアズ少佐を演じたデヴィッド・ボウイの美しさと存在感が随所で際立ち、坂本龍一扮するヨノイ大尉が次第にセリアズに惹かれていく様が描かれる。東洋と西洋の文化の対立と融合という複雑なテーマゆえに企画は難航し、製作費は膨らんだが、ビートたけしがラジオやテレビでネタにしたことで話題が独り歩きするなど、従来の映画プロモーションとは違う展開になったことも功を奏して、配給収入10億円の大ヒットにつながった。本作で初めて映画音楽を手掛けた坂本龍一によるテーマ曲「Merry Christmas, Mr.Lawrence」は映画史上屈指の名曲として今なお愛され続けている。2023年に大島渚作品が国立機関に収蔵される予定のため、今回が最後の大規模ロードショーとなる。

STORY

1942年戦時中のジャワ島、日本軍の俘虜収容所。収容所で起こった事件をきっかけに粗暴な日本軍軍曹ハラ(ビートたけし)と温厚なイギリス人捕虜ロレンス(トム・コンティ)が事件処理に奔走する。一方、ハラの上官で、規律を厳格に守る収容所所長で陸軍大尉のヨノイ(坂本龍一)はある日、収容所に連行されてきた反抗的で美しいイギリス人俘虜のセリアズ(デヴィッド・ボウイ)に心を奪われてしまう。クリスマスの日にハラは「ファーゼル・クリスマス」と叫んでロレンスとセリアズを釈放してしまう。それに激怒したヨノイは捕虜の全員を命じるのだが、周囲からの孤立を深める結果になり、葛藤に苦しむのだった。

CAST
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    デヴィッド・ボウイ| ジャック・セリアズ少佐 DAVID BOWIE

    1947年1月8日、英国ロンドン生まれ。グラミー賞5回受賞、英誌NMEの史上最も影響力のあるアーティストに選出されるなど、不世出のスーパースター。本名David Robert Jones。1964年、デイビー・ジョーンズ&ザ・キング・ビーズ名義でデビューするがヒットに恵まれず、1966年にデヴィッド・ボウイに改名。1969年にアルバム「スペイス・オディティ」を発表、表題曲は全英1位を記録。この曲は宇宙飛行士トム少佐(Major Tom)の孤独を歌ったもので、トム少佐はその後もボウイの曲に登場した。同時期、舞踏家リンゼイ・ケンプの下でパントマイムとダンスを学び、宇宙からやって来たロックスターというコンセプトで「スターマン」、「ジギー・スターダスト」などヒットを飛ばし、グラムロックの立役者となった。1973年のツアーでは山本寛斎による歌舞伎風の衣装を着用し、話題を呼ぶ。1976年、ニコラス・ローグの『地球に落ちてきた男』で映画初主演。1980年にはブロードウェイの舞台「エレファント・マン」に主演。この時、大島渚に本作の出演依頼を受けた。本作公開と同時期に発表された「レッツ・ダンス」は全米、全英第1位を記録する、自身最大のヒット曲となった。主な出演映画に『ジャスト・ア・ジゴロ』(78)、『ハンガー』(83)、『ラビリンス 魔王の迷宮』(85)、『ビギナーズ』(86)、『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』(92)、『ズーランダー』(01)、『プレステージ』(06)ほか。
    2016年1月10日、肝臓がんのため死去。アルバム「★」(ブラックスター)を発表した2日後のことだった。日本文化を愛し、京都に長期滞在するなど、たびたび来日した。息子は映画監督ダンカン・ジョーンズ。

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    坂本龍一| ヨノイ大尉/音楽 RYUICHI SAKAMOTO

    1952年1月17日、東京生まれ。世界的に活躍する音楽家。幼少期から作曲とピアノを学び、東京藝術大学在学中(大学院音響研究科修了。ここから教授のニックネームがつけられた)からセッション・ピアニストとして活動を始め、1978年、「千のナイフ」でソロデビュー。同年、細野晴臣、高橋幸宏とイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成し、同名のアルバムは大ヒット。テクノポップ・ブームを巻き起こし、1979年にはワールドツアーを成功させた。本作が初めての演技、並びに映画音楽(それが出演の条件だった)への挑戦で、見事に第38回英国アカデミー賞音楽賞に輝き、以降、アーティスト活動と並行し、多くの映画音楽を手がけることになる。1988年にはベルナルド・ベルトルッチの『ラストエンペラー』(87)で、米アカデミー賞作曲賞とグラミー賞を受賞。同作には甘粕正彦役で出演もしている。大島渚の遺作となった『御法度』(99)の音楽も手がけた。映画音楽作品に、『シェルタリング・スカイ』(90/ゴールデン・グローブ賞受賞)、『ハイヒール』(90)、『ファム・ファタール』(02)、『母と暮せば』(15)、『レヴェナント:蘇えりし者』(15)、『怒り』(16)、『天命の城』(17)、『約束の宇宙』(19)ほか多数。また、坂本の活動を追ったドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto:CODA』(17)もある。2013年にはベネチア国際映画祭、2019年にはベルリン国際映画祭の審査員を務めた。

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    トム・コンティ| ジョン・ロレンス中佐 TOM CONTI

    1941年11月22日、スコットランド、ペイズリー生まれ。グラスゴーの王立音楽演劇アカデミーで学び、1959年から数多くの舞台に立つ演劇界の名優。1979年、ブロードウェイの「この生命誰のもの」でトニー賞主演男優賞を受賞。1984年には『Reuben,Reuben』(83)で米アカデミー賞主演男優賞候補になる。現在も舞台やテレビに出演する一方、ミステリー作家、演出家としても活動し、一時はロンドン市長選への出馬を噂されたこともある。主な映画出演作に『デュエリスト 決闘者』(77)、『旅する女 シャーリー・バレンタイン』(89)、『テンペスト』(10)、『ダークナイト ライジング』(12)ほか。

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    ビートたけし| ハラ軍曹 TAKESHI

    1947年1月18日、東京生まれ。日本を代表するお笑い芸人であり、世界的な映画監督(監督としては本名の北野武名義)であり、俳優、画家、作家としても活動する才人。明治大学工学部を中退し、浅草フランス座でエレベーターボーイをしながら、深見千三郎の弟子となる。1972年にツービートを結成。1980年代初め、その毒舌と時事性の高さで漫才ブームを牽引し、1981年に「ビートたけしのオールナイトニッポン」が始まると爆発的な人気を博す。同年、『マノン』と『すっかり…その気で』で映画俳優としても注目を集める。本作出演を経て、1989年の主演作『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。突き抜けた暴力表現が衝撃を呼ぶ。監督4作目の『ソナチネ』(93)がカンヌ国際映画祭ある視点部門で上映されるとその映像美が世界的に注目され、1997年には『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)を受賞。『座頭市』(03)では同映画祭銀獅子賞(監督賞)に輝いた。主な映画監督作品に『あの夏、いちばん静かな海。』(91)、『キッズ・リターン』(96)、『菊次郎の夏』(99/兼主演)、『BROTHER』(01/兼主演)、『アウトレイジ』3部作(10、12、17/兼主演)ほか。俳優としても本作での殺気と愛嬌が同居した存在感で映画界に旋風を巻き起こし、大島作品『御法度』(99)での土方歳三役や、『愛のコリーダ』の助監督だった崔洋一の『血と骨』(04)など出演作多数。

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    ジャック・トンプソン| 俘虜長ヒックスリー JACK THOMPSON

    1940年8月31日、シドニー生まれ。オーストラリアを代表する国際派俳優。軍隊を経て、クイーンズランド大学で演劇を学ぶ。70年代は数多くのテレビ作品に出演。『英雄モラント/傷だらけの戦士』(80)で第33回カンヌ国際映画祭助演男優賞を受賞。その後は、国際的に活躍。主な映画出演作に、『スノーリバー/輝く大地の果てに』(82)、ラッセル・クロウとW主演した『人生は上々だ!』(94)、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(02)、『さらば、ベルリン』(06)、『オーストラリア』(08)、『華麗なるギャツビー』(13)ほか多数。

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    内田裕也| 拘禁所長 YUYA UCHIDA

    1939年11月17日、兵庫県生まれ。大阪で育つ。プレスリーに憧れ高校時代から音楽をはじめ、日本大学を中退してバンドボーイに。1959年、日劇ウェスタンカーニバルでデビュー。1966年のビートルズ来日公演では前座を務めた。その後、内田裕也とザ・フラワーズ、フラワー・トラベリン・バンドなどロックンローラー、音楽プロデューサーとしての活動と並行して、70年代以降は映画界でも活躍。『コミック雑誌なんかいらない!』(86)ではキネマ旬報主演男優賞、毎日映画コンクール脚本賞などを受賞する。主な出演作に『不連続殺人事件』(77)、『嗚呼!おんなたち 猥歌』(81)、『水のないプール』(82)、『十階のモスキート』(83/主演、脚本)、『魚からダイオキシン!!』(92/主演、企画、脚本)、『赤目四十八瀧心中未遂』(03)、『星くず兄弟の新たな伝説』(16)ほか多数。妻・樹木希林との不思議な関係や、1991年の都知事選挙出馬など、常に世間を騒がせた。2019年3月17日、死去。葬儀はロックンロール葬として行われた。

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    ジョニー大倉| 軍属カネモト JOHNNY OKURA

    1952年9月3日、神奈川県川崎市生まれ。1972年、ロックバンド、キャロルのメンバーとしてデビュー。ギター、ボーカルに加え、「ファンキー・モンキー・ベイビー」など多くの楽曲で作詞も担当。75年に解散後はソロ活動を始めると共に、本名の朴雲煥として在日韓国人をテーマにした映画『異邦人の河』(75)で俳優デビュー。『遠雷』(81)では第5回日本アカデミー賞優秀助演男優賞に選ばれるなど、音楽活動と並行して個性派俳優として活躍した。主な出演映画に『総長の首』(79)、『チ・ン・ピ・ラ』(84)、『キャバレー』(86)、『ハワイアン・ドリーム』(87)、『極道戦争・武闘派』(91)、『首領への道』(03)ほか。テレビ、Vシネマにも数多く出演した。2014年11月19日、死去。

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    内藤剛志| イワタ法務中尉 NAITO TAKASHI

    1955年5月27日、大阪府生まれ。日大芸術学部在学中、長崎俊一と自主映画を数多く制作。1980年、『ヒポクラテスたち』でデビュー。テレビでは「科捜研の女」(2000~)、「警視庁・捜査一課長」(2012~)をはじめ、数多くの刑事ドラマや、バラエティ番組でも活躍。また1995年から2001年にかけて連続ドラマに27クール連続で出演し、連ドラの鉄人と呼ばれる。主な出演映画に『オキナワの少年』(83)、『ロックよ、静かに流れよ』(88)、『幻の光』(95)、『ご存知!ふんどし頭巾』(97)、『闇打つ心臓 Heart beating in the dark』(05)、『科捜研の女 ─劇場版─』(2021年9月3日公開予定)ほか多数。

STAFF
  • ローレンス・ヴァン・デル・ポスト| 原作 LAURENS VAN DER POST

    1906年12月13日、現在の南アフリカ生まれ。作家、探検家、思想家。父はオランダ出身の政治家。大学時代に人種問題に意識的となり、新聞記者となった1926年に東京を訪れ、3ヶ月滞在した。1931年に英国へ渡り、34年に初の小説「ある国にて」を出版。1942年に連合軍大尉としてオランダ領東インド(現インドネシア)に派遣される。オランダ語が堪能で日本語も解するためだった。俘虜収容所では収容所大学を組織するなど指導的立場にいた。帰国後、「内奥への旅」がベストセラーとなり名声を確立。収容所経験を元に書いたクリスマス3部作をまとめた「影の獄にて」が本作の元になっている。第1部発表当初(54)は日本人に共感する内容に対して英国では論争を呼んだ。「フラミンゴの羽根」など著書多数。英国王室顧問も長く務め、1981年、サーの称号を得る。1996年12月16日、死去。

  • ジェレミー・トーマス| 製作 JEREMY THOMAS

    1949年7月26日、英国ロンドン生まれ。父ラルフ・トーマスは『群衆の中の殺し屋』(68)などの監督。製作者として2本目のイエジー・スコリモフスキの『ザ・シャウト さまよえる幻響』(78)が、第31回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリに輝く。ベルナルド・ベルトリッチの『ラストエンペラー』(87)では、第60回アカデミー賞で作品賞はじめ、9部門を受賞した。そのほかの『BROTHER』(01)、『リトル・ブッダ』(93)、『十三人の刺客』(10)、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(13)、『初恋』(19)など多数製作。『御法度』(99)では製作総指揮、『コーンウォールの森へ』(98)では監督も手がけた。

  • 成島東一郎| 撮影監督 TOICHIRO NARUSHIMA

    1925年、東京出身。東京物理学校(現・東京理科大)から1947年に松竹大船撮影所に入り、木下恵介に師事。木下による日本初の長編カラー映画『カルメン故郷に帰る』(51)の撮影助手を務め、吉田喜重の『ろくでなし』(60)で撮影技師に。『秋津温泉』(62)で三浦賞、『古都』(63)で毎日映画コンクール撮影賞、ブルーリボン賞ほか多くの栄冠に輝く。1965年、フリーに。大島渚とは『東京战争戦後秘話』(70)、『儀式』(71)と本作でタッグを組んだ。映画監督としても、芸術選奨新人賞を受賞した『青幻記 遠い日の母は美しく』(73)と『オイディプスの刃』(86)を残す。1993年10月8日、死去。

  • 戸田重昌| 美術監督 SHIGEMASA TODA

    1928年、東京出身。1953年、近代映画協会で美術助手を務め、小林正樹の『からみ合い』(62)で美術として独立。小林の『切腹』(62)、『怪談』(64)では毎日映画コンクール美術賞に輝く。大島渚とは『白昼の通り魔』(66)以降、『日本春歌考』(67)、『無理心中 日本の夏』(67)、『絞死刑』(68)、『愛のコリーダ』(76)、『愛の亡霊』(78)など、ほとんどの作品で美術を手がけ、『戦場のメリークリスマス』では、日本映画としてはおそらく初となる美術監督と冠されている。これが大島との最後の作品となり、1987年1月25日、死去。小林の『食卓のない家』(85)が遺作となった。他に篠田正浩の『処刑の島』(66)、『あかね雲』(67)、『無頼漢』(70)など。大島渚邸の設計も手がけた。大島渚プロダクション代表だった大島瑛子(1937─2010)は妻であり、大島渚の妹。

愛のコリーダ|修復版|
INTRODUCTION

大島渚監督、最大の問題作。

阿部定事件に挑み“世界のオーシマ”へ。
アートかエロスか?
裁判にまで発展したその答えはいかに――

大島監督史上最大の問題作『愛のコリーダ』がデジタル修復されて蘇る!
男女の愛憎の果てに男性器を切り取るという、実際に起こった阿部定事件に基づき大胆な性描写で映画化。藤竜也、松田英子が狂おしいほど求め合う激しい愛の営みは1976年の公開時から45年経た今観ても息を呑む。セックスの描き方にリアルさを追求し、映画での「本番行為」は芸術かエロスかを問いかけ、国内外に大きな波紋を巻き起こした。検閲を恐れ、日本で撮影されたフィルムを未編集のままフランスに送って編集し、日本で逆輸入して上映するという執念で作品を完成させた。後に同名書籍が発行されたが、一部がわいせつ文書あたるとして起訴され、裁判にまで発展した世紀の問題作。2000年の再公開時には35㎜フィルムによる上映だったが、今回、ブラー処理、色調整、レストア作業等を施し全面的に修正を行った。新しい2Kの修復版そして初のデジタル素材となって全国公開が決定。2023年に大島渚作品が国立機関に収蔵される予定のため、今回が最後の大規模ロードショーとなる。

STORY

昭和11年。東京・中野の料亭「吉田屋」を舞台に、そこの主人である吉蔵と仲居の阿部定が出逢いたちまち惹かれあう。昼夜を問わず体を求めあう二人の愛はエスカレートし、やがてお互いの首を絞めて快感を味わうなど、危険な性戯におぼれていく。定は吉蔵の愛を独占したいと願うようになり、ある日、吉蔵を殺して自分だけのものにしようと包丁を手にした。

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CAST
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    藤竜也| 吉蔵 TATSUYA FUJI

    一九四一年八月二七日、父の任地である中国・北京で生まれる。大学時代にスカウトされ日活入りし、『望郷の海』(62)で映画デビュー。『野良猫ロック』シリーズ(70〜71)など日活ニューアクションの若手代表格となる。一九七二年にフリーとなると、「時間ですよ」(73)、「寺内貫太郎一家」(74)、「悪魔のようなあいつ」(75)など、久世光彦演出のドラマで影のある男を演じ人気を博す。久世原案(小谷夏名義)の映画『任侠花一輪』(74)で初主演。『愛のコリーダ』では第一回報知映画賞主演男優賞を受賞するが、作品の衝撃度から翌年は俳優業から遠ざかる。さらに大島とは『愛の亡霊』(78)でもタッグを組み、国際的に高い評価を受けた。現在も映画、テレビの第一線で活躍し続けている。主な映画出演作に『友よ、静かに瞑れ』(85)、『アカルイミライ』(02)、『村の写真集』(03/第八回上海国際映画祭最優秀男優賞)、『力道山』(05)、『窯焚 KAMATAKI』(05)、『私の男』(13)、『龍三と七人の子分たち』(15)、『光』(17)、『台風家族』(19)ほか多数。夫人は日活の元女優、芦川いづみ。

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    松田英子| EIKO MATSUDA

    一九五二年五月一八日、横浜市生まれ。一九六八年、寺山修司主宰の演劇実験室「天井桟敷」に入団し、市川魔湖を名乗る。『野良猫ロック マシン・アニマル』(70)の端役で、映画デビュー。奇しくも藤竜也も本作に出演している。アメリカ留学後、モデルをしていたが、オーディションにより『愛のコリーダ』に大抜擢される。その後、松田暎子に改名し、『大奥浮世風呂』(77)、『聖母観音大菩薩』(77)、『ドーベルマン刑事』(77)、『ピンクサロン 好色五人女』(78)、『総長の首』(79)などの作品に出演したが、フランス映画『Cinq et la peau』(82)のヒロインを演じたのを最後に、芸能界を離れ海外で生活。二〇一一年三月九日、脳腫瘍のため死去。

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    中島葵| トク AOI NAKAJIMA

    一九四五年九月二〇日、熊本市生まれ。父は文学座出身の俳優の森雅之、母は宝塚出身の梅香ふみ子。祖父は小説家、有島武郎。森が既婚者だったため、一六歳まで認知されなかった。一九六四年、日本大学芸術学部演劇学科に入学と同時に、文学座附属演劇研究所に入る。大学中退後、一九六六年に文学座研究生、七一年に座員となるが七三年に退団し、黒テントをはじめアングラ演劇、前衛演劇で活動する。映画デビューは『若者はゆく│続若者たち│』(69)。演劇活動と並行して、一九七三年の映画『ためいき』からは日活ロマンポルノでも活躍。数多くのテレビドラマにも出演したが、一九九一年五月一六日、四五歳の若さで子宮頸がんのため死去。主な出演映画に『OL日記 濡れた札束』(74)、『青春の蹉跌』(74)、『濡れた週末』(79)、『夢千代日記』(85)、『吉原炎上』(87)ほか多数。

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    小山明子| 芸者 AKIKO KOYAMA

    一九三五年一月二七日、千葉県生まれ、横浜市育ち。スカウトにより松竹に入り、一九五五年に『ママ横をむいてて』でデビュー。『新婚白書』(55)で助監督だった大島渚と出会い、一九六〇年に結婚。翌年松竹を退社。第24回毎日映画コンクール女優助演賞を受賞した『少年』(69)はじめ、大島作品に出演する一方、「氷点」(71)、「赤い迷路」(74)、「あかんたれ」(76)、「徳川の女たち」(80)など数多くのテレビドラマで活躍する。大島が病に倒れてからの介護の日々を綴った著書「パパはマイナス50点」で、二〇〇八年日本文芸大賞エッセイ賞を受賞した。映画出演作に『死者との結婚』(60)、『日本の夜と霧』(60)、『飼育』(61)、『白昼の通り魔』(66)、『絞死刑』(68)、『続・女の警察』(69)、『夏の妹』(72)、『愛の亡霊』(78)、『スパルタの海』(83)、『インターミッション』(13)ほか多数。

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    殿山泰司| 老乞食 TAIJI TONOYAMA

    一九一五年一〇月一七日、神戸市生まれ。東京・銀座で育つ。おでん屋「お多幸」は実家。一九三六年、新築地劇団に入団。本格的な映画デビューは『空想部落』(39)。一九四二年に出征し、一九四六年に復員後、『安城家の舞踏会』(47)など新藤兼人脚本、吉村公三郎監督作の常連となり、彼らと近代映画協会の設立に参加。新藤作品『裸の島』(60)、『人間』(62)では主演を務めたが、自称・三文役者として、ポルノから大作まで三〇〇本以上の映画に出演。大島作品にも『帰って来たヨッパライ』(68)、『夏の妹』(72)、『愛の亡霊』(78)ほかに参加。一九八九年四月三〇日、肝臓がんのため死去。二〇〇〇年には、その波乱万丈な生涯を新藤兼人が『三文役者』として映画化した。主な出演作に『長屋紳士録』(47)、『醉いどれ天使』(48)、『ひめゆりの塔』(53)、『赤い殺意』(64)、『楢山節考』(83)ほか多数。

STAFF
  • アナトール・ドーマン| 製作代表 ANATOLE DAUMAN

    フランスの映画プロデューサー。一九二五年二月七日、ポーランドのワルシャワに生まれ、その後フランスに移住。一九四九年にアルゴス・フィルムを設立。アラン・レネの『夜と霧』(55)、『二十四時間の情事』(59)、クリス・マルケルの『ラ・ジュテ』(62)、ロベール・ブレッソンの『バルタザールどこへ行く』(66)、ジャン=リュック・ゴダールの『男性・女性』(66)など、ヌーヴェル・ヴァーグの傑作を世に送り出す。七〇年代以降は海外との合作も多く手がけ、大島作品では『愛の亡霊』(78)も製作。主な作品にフォルカー・シュレンドルフの『ブリキの太鼓』(79)、寺山修司の『上海異人娼館/チャイナ・ドール』(81)、ヴィム・ベンダースの『パリ、テキサス』(84)、『ベルリン・天使の詩』(87)ほか。一九九八年四月八日、パリにて死去。

  • 若松孝二| 製作 KOJI WAKAMATSU

    一九三六年四月一日、宮城県生まれ。農業高校を二年で中退し上京後、職を転々とし、テレビ映画の助監督に。一九六三年にピンク映画『甘い罠』で監督デビュー。ピンク映画界の寵児となる。一九六五年に若松プロダクションを設立し、製作、監督した第一作『壁の中の秘事』(65)がベルリン国際映画祭に出品されると、国内から大きな反発を食う。一九七一年、大島渚と共にカンヌ国際映画祭監督週間に招待され、その帰りにパレスチナでアラブゲリラを追った『赤軍ーPFLP・世界戦争宣言』(71)を撮り、赤バス上映隊として全国を巡る。続いてATGで撮った『天使の恍惚』(72)は連合赤軍との関係を問われ、上映反対運動が起きる。内田裕也主演の『餌食』(79)で一般映画に進出後も、常にセンセーショナルな存在であり続けると同時に、若松プロで多くの後進を育成した。監督作に『聖母観音大菩薩』(77)、『水のないプール』(82)、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』(08)、『キャタピラー』(10)、第六五回カンヌ国際映画祭・ある視点部門で上映された『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(11)ほか多数。二〇一二年一〇月一七日、交通事故のため死去。

  • 伊東英男| 撮影 HIDEO ITO

    一九二二年、福島県出身。東京映画に撮影助手として入り、名カメラマン三浦光雄に師事。一九五五年から撮影技師となり、『赤いカンナの花咲けば』(55)、『幽霊タクシー』(56)、『月と接吻』(57)などを手がけ、一九六三年にフリー。ピンク映画を中心に生涯で三〇〇本近い作品を撮った。若松孝二とは『めす犬の賭』(63)、『赤い犯行』(64)、『壁の中の秘事』(65)、『胎児が密猟する時』(66)、『犯された白衣』(67)、『金瓶梅』(68) 、『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』(68)、『天使の恍惚』(72)、『十三人連続暴行魔』(78)、『キスより簡単』(89)など多くの作品でタッグを組んだ。ほかに『痴漢電車』(75)、『戦争の犬たち』(80)、『鍵』(83)ほか多数。一九九七年、死去。三木稔|音楽MINORU MIKI一九三〇年、徳島県出身。東京藝術大学作曲科で、伊福部昭、池内友次郎に師事。一九六四年、現代邦楽の創作や演奏をする「日本音楽集団」の創立に参加。海外でも活動した。代表作は一九七五年の「春琴抄」に始まり、「隅田川」、「源氏物語」など三五年に渡るライフワークとなった「日本史オペラ9連作」や、「マリンバ・スピリチュアル」、管弦楽曲「鳳凰三連」、合唱曲「レクイエム」、「阿波」ほか。映画音楽に『青い性』(64)、『悶え』(64)、『花と龍』(65)、『続・花と龍 洞海湾の決斗』(66)、『聖母観音大菩薩』(77)など。二〇一一年十二月八日、死去。

COMMENTS

  • 崔洋一 (映画監督/『愛のコリーダ』制作時助監督)

    ―日本がひっくり返る。のるかそるか答えろ―
    この無茶ぶりに「やります」と素直に反応した。

  • 坂本美雨 (ミュージシャン)

    今回見直して、改めて感動したこと。
    セリアズが弟を傷つけたことで、弟の歌が失われ、彼は罪悪感を抱いて生きていく。
    けれども、人生の最後には、彼は俘虜たちの讃美歌で送られる。
    歌で傷つき、歌で救われたんだ、と気づき、胸を打たれました。

  • 内藤剛志 (俳優)

    『私の映画はキャストが決まった時点でほぼ完成しているのです。
    私が選んだ彼らは、当然その映画への思いを持って現場に来てくれるからです。だからあまりテストは必要ありません、すぐに本番です』
    ずっとこの言葉が心の中で響いている。今、現場に向かう僕は、このことを実践できているのだろうか。ありがとうございました、監督。

  • ライムスター宇多丸 (ラッパー/ラジオパーソナリティ)

    2021年現在の目で、まるで新作のように大島渚を観るというのは、
    さぞかし素晴らしくスリリングな体験であるに違いない
    ―「戦メリ」直撃世代の私自身、その真価を理解できている気が、いまだにまるでしないのだ。

大島 渚

NAGISA OSHIMA

大島渚写真
映画監督 大島渚

1932年3月31日京都生まれ。1954年、京都大学法学部卒業。松竹大船撮影所入社。1959年、第一回監督作品「愛と希望の街」発表。翌年『青春残酷物語』で第1回日本映画監督協会新人賞を受賞、日本ヌーベルバーグの旗手とうたわれるが、「日本の夜と霧」の上映中止をめぐって松竹を退社。以後独立プロ創造社を主宰、『白昼の通り魔』『日本春歌考』『絞死刑』『儀式』などを発表。1968年以降全作品が海外で公開される。

1973年7月、製作活動の新たな転回を期して、13年にわたって自らの作家活動の拠点としてきた創造社を解散、国際的な評価をばねに製作の機会を海外に求める。1975年、大島渚プロダクションを創立。その第一弾としてフランスのアルゴス・フィルムと大島渚プロダクションの合作『愛のコリーダ』を監督。阿部定事件をモチーフにしたハードコア映画である本作は1976年に膨大な修正を経た版のみが国内公開された。翌年のカンヌ映画祭で絶賛をあび、シカゴ映画祭特別賞、英国映画協会賞を受賞。海外での高い評価をよそにスチール写真と脚本が掲載された単行本「愛のコリーダ」が警視庁に押収され、東京地検はわいせつ文書として大島を起訴。映画版のスケープゴートとして単行本が摘発されたこの「愛のコリーダ」裁判で、大島は「芸術か猥褻か」ではなく「猥褻なぜ悪い」の論点で戦い、1979年10月に東京地裁で無罪判決、控訴審も1982年6月に無罪。

「愛のコリーダ」の係争中にも、同じくアルゴス・フィルムとの合作で『愛の亡霊』(78)を監督し、カンヌ映画祭の最優秀監督賞を受賞。海外での評価の高まりのなか、英国の作家ローレンス・ヴァン・デル・ポストの原作小説をもとに『戦場のメリークリスマス』(83)を実現させる。第二次世界大戦下のジャワの日本軍捕虜収容所を舞台に日英軍人の衝突と交感を描いた本作は、イギリスのシネベンチャー・プロダクション、大島渚プロダクションほかの提携になる、大島作品中でも突出した大作であった。デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしという意表を突くキャストが話題となって大ヒット、カンヌ映画祭での熱狂を経て、キネマ旬報読者選出ベスト・ワン、毎日映画コンクール作品賞、監督賞、脚本賞などを受賞。

以降もフランス映画『マックス、モン・アムール』(87)で国際的映画製作を展開。1996年2月脳出血のため倒れるも、その後1999年「御法度」を完成させた。2000年、文部大臣芸術選奨、紫綬褒章を受章。2001年、毎日芸術賞、芸術文化勲章コマンドゥール(フランス)を受賞。妻は女優の小山明子。2013年1月15日肺炎のため死去。

大島渚写真

原稿協力:樋口尚文

THEATER

公開日
都道府県 劇場 戦場の
メリークリスマス
愛の
コリーダ
東京 ヒューマントラストシネマ有楽町 03-6259-8608 上映終了 上映終了
東京 新宿武蔵野館 03-3354-5670 上映終了 上映終了
東京 立川シネマシティ 042-525-1251 上映終了 上映終了
東京 シネ・リーブル池袋 03-3590-2126 上映終了 上映終了
東京 アップリンク吉祥寺 0422-66-5042 上映終了 上映終了
東京 キネカ大森 03-3762-6000 上映終了 上映終了
東京 シネマ・チュプキ・タバタ 03-6240-8480 上映終了 上映終了
東京 早稲田松竹 03-3200-8968 上映終了 上映終了
東京 新文芸坐 03-3971-9422 2022/6/17(金) -
北海道 シネマアイリス 0138-31-6761 上映終了 上映終了
秋田 御成座 0186-59-4974 上映終了 -
山形 フォーラム東根 0237-43-8061 上映終了 上映終了
茨城 シネプレックスつくば 0570-783-122 上映終了 -
茨城 あまや座 029-212-7531 上映終了 上映終了
栃木 フォーラム那須塩原 0287-60-7227 上映終了 上映終了
栃木 宇都宮ヒカリ座 028-633-4445 上映終了 -
群馬 高崎電気館 027-395-0483 上映終了 -
群馬 シネマテークたかさき 027-325-1744 - 上映終了
埼玉 シネプレックス幸手 0570-783-733 上映終了 -
埼玉 川越スカラ座 049-223-0733 上映終了 上映終了
埼玉 深谷シネマ 048-551-4592 上映終了 -
埼玉 所沢市民文化センター ミューズ マーキーホール 04-2998-7777 4/9(土) -
千葉 USシネマ千葉ニュータウン 0476-48-2126 上映終了 -
千葉 千葉劇場 043-227-4591 上映終了 -
千葉 キネマ旬報シアター 04-7141-7238 上映終了 上映終了
神奈川 ジャック&ベティ 045-243-9800 上映終了 上映終了
神奈川 川崎市アートセンター 044-955-0107 上映終了 -
神奈川 あつぎのえいがかんkiki 046-240-0600 上映終了 -
神奈川 シネコヤ 0466-33-5393 上映終了 -
神奈川 鎌倉市川喜多映画記念館 0467-23-2500 2022/6/28(火)~7/3(日) -
長野 長野ロキシー 026-232-3016 上映終了 上映終了
長野 アイシティシネマ 0263-97-3892 上映終了 上映終了
岐阜 CINEX 058-264-7151 上映終了 -
新潟 新潟シネ・ウインド 025-243-5530 上映終了 上映終了
新潟 高田世界館 025-520-7626 上映終了 上映終了
富山 ほとり座 076-422-0821 上映終了 上映終了
富山 ダフレンズ 0766-24-9229 上映終了 -
石川 シネモンド 076-220-5007 上映終了 上映終了
福井 メトロ劇場 0776-22-1772 上映終了 -
静岡 静岡シネ・ギャラリー 054-250-0283 上映終了 上映終了
静岡 シネマイーラ 053-489-5539 上映終了 上映終了
愛知 刈谷日劇 0566-23-0624 上映終了 上映終了
大阪 テアトル梅田 06-6359-1080 上映終了 上映終了
大阪 なんばパークスシネマ 050-6864-7125 上映終了 上映終了
大阪 シアターセブン 06-4862-7733 上映終了 上映終了
大阪 シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416 2022/8/8(月)~8/15(月) 2022/8/20(土)~8/26(金)
京都 京都シネマ 075-353-4723 上映終了
京都 京都みなみ会館 075-661-3993 上映終了 上映終了
京都 アップリンク京都 075-600-7890 上映終了 上映終了
兵庫 シネ・リーブル神戸 078-334-2126 上映終了 上映終了
兵庫 神戸アートビレッジセンター 078-512-5500 上映終了 上映終了
兵庫 塚口サンサン劇場 06-6429-3581 上映終了 上映終了
兵庫 豊岡劇場 0796-34-6256 上映終了 上映終了
兵庫 シネ・ピピア 0797-87-3565 上映終了 上映終了
滋賀 大津アレックスシネマ 077-527-9616 上映終了 上映終了
岡山 シネマ・クレール丸の内 086-231-0019 上映終了 上映終了
広島 八丁座 082-962-7772 上映終了 上映終了
広島 シネマ尾道 0848-24-8222 2022/1/29(土)~2/4(月) 上映終了
広島 芸予文化情報センター(第5回 尾道映画祭プレイベント) 0845-25-6572 12/24(金) -
山口 YCAM 083-901-2222 上映終了 上映終了
香川 ホールソレイユ 087-861-3366 上映終了 上映終了
愛媛 シネマルナティック 089-933-9240 上映終了 上映終了
高知 シネマ四国 088-855-9481 上映終了 上映終了
福岡 KBCシネマ 092-751-4268 上映終了 上映終了
福岡 小倉昭和館 093-551-4938 上映終了 -
佐賀 シアターシエマ 0952-27-5116 上映終了 上映終了
佐賀 シアターエンヤ 0955-53-8064 上映終了 上映終了
長崎 長崎セントラル劇場 095-823-0900 上映終了 -
熊本 Denkikan 096-352-2121 上映終了 上映終了
宮崎 宮崎キネマ館 0985-28-1162 上映終了 上映終了
大分 シネマ5 bis 097-536-4512 上映終了 -
大分 日田シネマテーク・リベルテ 0973-24-7534 上映終了 上映終了
大分 別府ブルーバード劇場 0977-21-1192 上映終了 上映終了
鹿児島 ガーデンズシネマ 099-222-8746 上映終了 上映終了
熊本 本渡第一映劇 0969-23-1417 上映終了 -
沖縄 ミュージックタウン音市場 098-932-1949 上映終了 -